僕の行く道
小学3年生の男の子は、毎週土曜日に届く母からの手紙を楽しみにしている。
母は、フランスにデザインの勉強に行っていると聞かされて育ってきたのだが、ある日、父の部屋で矛盾に気づいた。
フランスにいるはずの母は、実は小豆島にいるのではないか。
いや、いるに違いない。
父や母にウソをつかれた悲しみよりも、母に会いたい一心で一人で小豆島まで行くことを決心した。
兄貴的存在の男の子の力を借りて、片道分程度のお金を持って旅立つのだが・・・・。
新幹線の中で出会ったお姉さん、間違えて降りてしまった駅で出会った女の子、台風の港で出会った老人。
少年は、心温かい人たちに出会いながら、無事 小豆島にたどり着いた。
でも・・・・母は・・・
若年性アルツハイマーで、何も覚えていなかった。
「子供のことを覚えているうちに姿を消したい。」と、小豆島の療養所に入っていたのだった。
真実を知った少年・・・
でも 奇蹟が起こった。
覚えてはいないはずのこと、1週間前に手紙で書いたある言葉を母が呟いたのだった。
少年を傷つけないためについた大人たちの嘘、純粋な少年の心に触れて、悲しみから立ち上がった出会った人達。
誰もがみな優しくて、温かい。
とても易しい文章で、高学年の子供なら読めそうですが、大人が読んでも感動できるしっかりとした作品です。
「僕の行く道」「きみに読む物語」「半落ち」
たまたま見たり読んだりしたものに同じアルツハイマーという病気がでてきました。
私が思っていたほど他人事ではないのかもしれません・・・。